奥様のお仕事
「五月さんは 全治十日 日頃から
暴力が絶えず 傷は数十か所におよんでいるということです
月影容疑者には 詐欺容疑や 薬物所持の疑いもあり
調べを慎重に進めております」


ニュースが終わるとテレビを消して


「おまえみたいな クズ もう終わりだ」

浩一郎の聞いたことのない低い声に驚いた。



そんなに余罪があるなら もう五月さんとの離婚は確定だ。
浩一郎と五月さんが 結ばれる日も近い


いきなりまた現実に引き戻された。


甘い甘い時間はもう 終わりに近づいている。
これ以上 この仕事を続けていたら 私はきっと


浩一郎に嫌われたり幻滅されることになる。
だってもう 抑えられないくらい


きっかけがあったら 爆発しそうなの。



「あなたが好きです」


浩一郎にとって私も多分 大切な存在であることは間違いない
尊敬する黒木 実の孫で

祖父から 私のことを頼むと言われているはず
だから仕事を与えて 生活費がかからないように
自分のそばにおいて 給料を与えて・・・・・・


いつか来る 一人立のために
備えてくれていたんだと思う。


浩一郎の温かい想いが伝わってくるけど
あくまでもそれは 黒木 実の 孫娘だから・・・・・・・


妹が欲しいと思っていた浩一郎が
幼い私に出会っていだいた気持ちは


小さきものを愛おしむ思いであって 決して変態なんかじゃない。



< 221 / 296 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop