奥様のお仕事
旅館に戻る時には 猛吹雪になっていた。


「これの中で風呂もけっこう過酷だな」


「冷たそう~~」


「楽しかったな」


「うん すっごく楽しかった」


「写真 何枚撮った?モデル料もらうぞ」


「だって目とかつぶっちゃってたよ
この中できっといい写真なんてちょっとだよ」


楽しい会話


部屋に戻ると綺麗に 片づけられていて
新しいシーツや カバーに変わっていた。


「どうでした?」
配膳に来た 女将に


「すごくすごく綺麗でした」
興奮して答えた。


「奥様 今夜の食事は寂しくないですね
昨日はおひとりで可哀そうでしたもの ご主人」


「可哀そうなことしちゃったから
今日はいっぱい その償いをしてきたよ」


「あら それはよかった
いい思い出になりますね」


「おい また写真撮るのか?」


「女将さんの写真だもん」


笑顔が一杯 無邪気なマリンは ずいぶん無理したよ
切なくて本当は 笑いたくないけど


浩一郎が喜んでくれると思って頑張ったの。


「マリンの喜んでる顔みたら 元気が出るよ」


「取り柄はこれだけだから」


「いや 一番大切なことだよ」


そうだね・・・・・
これからはきっと もうこんなに笑えないから・・・・。
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