奥様のお仕事
運ばれてきた料理にも 驚いた。

「お洒落すぎて どうやって食べたらいいのか」

祖父のために作っていた料理とは違う
綺麗でお洒落な料理に戸惑う。


「まずは よく見てて
これは マリンの仕事にとても重要だから
どうやって食べるのか ナイフやフォークの使い方や
マナーをしっかり頭に叩き込んでほしい」


私の仕事に?
いったい 本当に私の仕事って

「集中しなさい」

浩一郎の厳しい声に 縮み上がった。


「今は 私は仕事を教えているんだよ」


「あ…はい」


背中に汗が流れる。


さっきまであんなに優しく微笑んでくれたのに
向かい側に座っている浩一郎は別人だった。


「違う」

「すみません」


何度もそのやりとりを繰り返して 
せっかくの美味しそうな料理がどこに入って行くのかわからない。


カチャカチャ

慣れない道具が音を鳴らす。

「もう一度!!!」

怒ってる・・・・・・
浩一郎の表情や声に 緊張は絶頂になった。
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