奥様のお仕事
「マリ坊」

ここの人たちはみんな 私をそう呼んだ。


「はい」


「この間 マリ坊が作った デザート美味しかったと
お客様からメールが来てたよ」
支配人が笑顔で言った。

「本当ですか?」

支配人にメールを見せてもらった。


私の料理はいつも 浩一郎に食べてもらうつもりで
作っている・・・・・わざわざメールをくれた
お客様には何だか申し訳ないと思ったけど

嬉しかった・・・・・。

「支配人 私ずっと不思議だったんですが
いつか聞いてみようと思ったんですけど
どうして私を雇ってくれたんですか?
最初 身元引受人がいないって言ってたのに……」


支配人は少し困った顔をした。


「マリ坊の必死さかな」


「どこも必死に頼んでも入れてもらえなかったのに
支配人は神様です」


「神様か いやいや」
頭をかきかき・・・・・・。


「オーナの許可が出てね・・・・・」


「オーナにも感謝しなきゃ
お会いすることがあったら お礼言いたいです」


「実はオーナーも会いたがってるんだよね。
仕事もしっかりやってくれるし 労いたいって言ってたよ」


急きょ オーナーに会いに行くことになった。
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