奥様のお仕事
「私が彼の前に行ったらきっと苦しむんです。
私を傷つけまえと 必死になるから あの人
すごく優しい人だから………」


「あなたたちの中に何があったのかは
私には関係ないことだけど・・・・・
長谷さん……入院したのよ」



「・・・・・・・・」



「一度ちゃんと会って話をしなさい」



「入院って・・・・・」


一瞬頭の中が真っ白になった。


「どうしたんですか?怪我ですか?
病気ですか?悪いんですか!?」


パニックになって 女将にしがみついた。


「悪いみたい」


目の前が真っ暗になって 立ちくらみがした。


悪いみたい・・・・・・
じいちゃんみたいに 突然 いなくなったら・・・・・
会えないけど


会えないけど



でも でも この世に いてくれないとイヤだよ


会いたいから いつか会えると信じているから
だから 一人で 頑張ってきたのに



目の前の現実もちゃんと 受け入れられるような大人になったら
胸を張って 浩一郎に再会して


奥様のお仕事の達成度を 聞きたかったのに・・・・・


「急ぎなさい」

女将が 病院の住所と病室とタクシー代にと一万円くれた。
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