奥様のお仕事
病室は個室のようだった。

カーテンが引かれて　中は見えなかった。
震える手で　カーテンを静かに開くと　そこには
痩せた　浩一郎が眠っていた。


嘘・・・・・・
どうしてこんなに　痩せちゃったの・・・・・


私の存在に気づかずに眠り続けている浩一郎の横に
静かに腰を下ろした。


悪いみたい


もしかしたら　本当に重病なのかもしれない
だって　浩一郎があんなに　痩せているなんて
私がそばにいたら　こんなにひどくなる前に　何とかできたかもしれないのに


「ごめんなさい」


大粒の涙がポタポタとシーツに落ちる。


「死んじゃいやだよ……私を置いて行かないで」


痩せこけた頬を指でなぞる。


「浩一郎・・・・・ごめんなさい」



重苦しい間があって　浩一郎の頬を触っている手首を掴まれた。



「キャツ」


浩一郎の手だった。


「浩一郎！！！」


「やっと戻ってきた・・・・・・」
弱弱しい声に　胸が押しつぶされそうだった。


「ごめんなさい　本当にごめんなさい」


激しい嗚咽に言葉がかき消される。


「ごめんなさい　心配かけて　」


「心配したよ……マジで　マジで……辛かった」


浩一郎の目からも涙が溢れて　枕を濡らしていた。
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