奥様のお仕事
「あの時は借金のむしんばかりで ちゃんと
お祝いを言う事もできませんでしたけど
おめでとうございます。浩一郎さんが望んでいた通りになって
私も嬉しかったですよ」


「望んでいた?」


「あの頃の真剣に悩んでいたことが ちゃんと
月日を待つとこうやって一緒になれるんだなって
焦らないで見守ってって…あの頃は本当に
自分はおかしくなったんだろうかって 混乱してましたけど
浩一郎さんは一途な方ですね」


「あの頃・・・・?」


「あら 余計なこと言ってしまったかも・・・
今日は一度帰りますが また改めて出てきます。
どうぞお大事にしてください」


颯爽と帰って行く五月さんの後ろ姿に
私は何をしていたんだろうと腹が立ってきた。


ちゃんと浩一郎を待って
きちんと話を聞いていたらこんなことにならなかったのに



私が弱虫だったから
現実から逃げることばかり考えていたから



「マリンさん!!!」


面会室でジュースを買っていると
佐伯さんが 立っていた。


「あ・・・・ご無沙汰してます」


「マリンさん・・・・何をしてたんですか」


「すみません ご心配おかけして」


「若には 会いましたか?」


「はい」

佐伯さんは 眉間を押えた。
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