奥様のお仕事
天使がいる・・・・・


俺は後部座席で眠る 小さな天使に一瞬で
心を奪われる・・・・・・。


起こさないように静かに横に座った。


「可愛いわね~天使みたい」


祖母からも 天使という言葉が出るくらい
寝顔だけでも 愛らしさで 抱きしめたくなる。


「名前はマリン 八月で三歳になるんだ」


三歳か・・・・・・


「浩一郎くんだったか?」


「はい」


「マリンの目は 綺麗だぞ。
起きたらじっくり見て見たらいい。この海の色に
そっくりで・・・・この色がなかなか出せずに苦労してる」


「相変わらず絵を描いてるの?」


「食えないから 副業してるけどね
これからマリンを育てていかなければいけない・・・・
俺だって長生きできるかわからんから
一人残していくマリンを思うと不安になるよ」


実さんがいなくなったら
この子は一人ぼっちになってしまうんだ。


なんて愛らしいんだろう
真っ白な柔らかそうな肌に 金髪の巻毛
手首のくびれまでが 可愛いなんて・・・・・・


そしてこの子の目の色がどれだけ美しいのか・・・・


祖母は少女のように楽しそうにしている。
祖父と一緒にいる時と全然違う一人の女性に見えた。
< 267 / 296 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop