奥様のお仕事
視線を感じて マリンを見ると
大きな青い目で 俺をジッと見ていて
今にも泣きだしそうだった。


「実さん マリン 泣きそうだけど」


大きな目から大粒の涙が ポロポロ落ちて
唇を噛みしめている。


「やばい やばいよ」


「マリン 起きたか?
じいちゃん いるから 泣くなよ」


泣き声をあげずに 涙だけ ポロポロ流すマリン


やばい・・・・
マジでやばい・・・・俺の心に この愛くるしさが・・・・


青い目にガン見されながら 実さんの家についた。


マリンは俺が降りると 
「ダッコ ダッコ」と手を伸ばした。


天使を抱く瞬間
壊れ物に触れるように マリンを抱いて 下におろした。


「じいちゃん」
可愛い声で実さんの後を追っていく。


俺よりずっと年をとっているのに
実さんは片手で軽々と マリンを高く抱き上げた。


「お客さんだぞ 
じいちゃんの お友達と おにいちゃんだ」


「おにいちゃん?」


おにいちゃん・・・・・・
俺は憧れていた 妹が欲しかった・・・・・・
弟は年が 離れていても 生意気で めんどくさい・・・・・。


妹が欲しいとずっと思っていた。


「おにいちゃん?」大きな目はもう にこやかに笑っていた。
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