奥様のお仕事
すっかりマリンは 俺になついで 俺も
マリンが可愛くて 張り切ってしまった。

青い目は 実さんが言うように
引き込まれそうな美しい色だった。


「この青さは どんな絵具を混ぜれば
出せるんだろう」


思わず呟くと


「浩一郎くん 絵に興味あるのかい?」

実さんが言った。


「はい」


「嬉しいな~俺の絵も見てくれるか?」


「絵描かれるんですか?」


「まあね。本当はこれ一本で生きて行きたかったんだけどね」


「実さんは外国とかにも行ってたわよね」


「海が好きなんだよね
青い海が・・・・いろいろ行ったけどやっぱり
ここの島が一番綺麗だってわかったよ
アトリエ行こうか」


「はい」


マリンは 俺の顔を見上げて

「ダッコ ダッコ」とせがむ。



「マリンも いつもじいさんにばっかり
ダッコされてウンザリしてたのかな」


俺に抱かれて ご機嫌なマリン


「実さんの絵見るの久しぶりだわ」
祖母の言葉に


「そう言えばこの間 ちょっとスペース借りて
絵を一点 飾らせてもらったんだ そっちに」


「あら どこに?」


祖母は少女のように 実さんの後を跳ねるようについて行く。
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