奥様のお仕事
こんなに長くお風呂にいたのは 初めてだった。
だってテレビもあるし 音楽も聞けるし
ウトウト眠っては 目を覚ましたり

トントン トントン

「あ!!!開けないでください!!!」

ノックの音に 体を沈めた。

「開けないよ 長いから大丈夫かなって思ってさ」


「すみません
あんまり気持ちよくって もう出ます」


「いや いいけど 出てこないから心配になっただけだから」


声が遠くなった。


「フワァ~~~!!!ビックリした」

開けないでなんて
私 失礼なこと言っちゃった。


紳士な浩一郎がそんなことするわけないのに
恥ずかしくて 穴があったら入りたくなった。


フワフワのバスタオルは吸水力がすごくて
ものすごい大きな鏡の前に立つと

茹で上がった卵みたいになっている。

並べてある化粧品を次々出して順番につけてみる。
頬を手で抑えると 肌が喜んでいるようだった。


ボディーミルクはいい香りがした。

「ツルツル~~」

全身に塗り込む。
一回だけじゃダメだけど こんな機会滅多にないからね

「吸収するんだよ」
自分を磨くのってすごく楽しいことなんだって興奮した。
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