奥様のお仕事
アトリエに無造作に置かれた絵に 思わず

「あ これって」


俺が感動したあの絵が
あの絵を描いたのが 実さんだと知って俺は大興奮


「浩一郎くんが大人になったら
高いお金で俺の絵 買ってくれ」


「絶対 揃えます!!
こんな素晴らしい絵に囲まれて生活したい」


「照れるな~~」


「やっぱり血は争えないわ。
私の初恋の人の絵を 偶然見て 心に残っただなんて」

祖母も興奮している。


「私の血を引いたら 黒木家の人に夢中になるのかも」


「華ちゃん あんまり言いすぎると
ご主人にまた ヤキモチ焼かれるよ」


「だって~~~
あ こうなったら マリンちゃんと浩一郎が
結ばれてくれたら素敵なのに」


「いやいや マリンはまだ赤ちゃんだよ」
実さんは笑ったけど


「あらあと二十年もしたら・・・いい大人になってるわ」

祖母の言う事は夢物語にしか過ぎなかったのかもしれないけれど
俺の心に残った あと 二十年もしたらという言葉に


マリンの二十年後


その時 俺は 三十六歳・・・・・・・・・
二十年待てば もしかして夢ではなくなるのかも・・・・


しかし俺に抱かれてご機嫌なマリンは
赤ちゃんで・・・・・・

想像しようとする自分が 汚いもののように感じた。
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