奥様のお仕事
五月さんは 俺の理解者だった。
悩み多き弟を心配してくれる姉のように
俺も五月さんを信頼し 必要としていたけれど・・・・・


うちに出入りしていた 月影が 五月さんを見染め
あっという間に 結婚してしまった。
幸せになったとばかり 思っていたのに
五月さんの内情を知ったとき 俺が講師として
呼び寄せたばかりに 苦労をさせてしまった。


あの頃はそんな風になるなんて
思いもよらなかった。


夏絵も自分の夢を掴み 別々の道を歩くことになって
やっと普通という柵から解放された。

学校を出て仕事を始めると
仕事にかっこつけて 恋を無理にすることもしなくてもいい。


跡取り 結婚適齢期


上手くのらりくらりとかわしながら 
俺はその時が来るのを 待っていた。


マリンが二十歳になったら 実さんの承諾をもらって
ちゃんと付き合いたいと思っていた。


実さんの絵が欲しくて
定期的に会うことが増えて マリンの話を聞けるようになって


「自分に自信がないんだな マリンは
外に出るのをすごく怖がっている」


「島から出ようとしない
あのまま島に閉じこもったままでいいとは
思えないんだ」


実さんは俺を信頼してくれて マリンの話をしてくれるようになった。
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