奥様のお仕事
祖父は 有名な画家だと言う。
私には そんなことは話すことはなかったけど
芸術の先生として授業をする祖父は
みんなの人気者だった。


「実さんの 海の色は本物の色だ」

島の人たちも口ぐちにそう言って 祖父を褒めてくれて
私は 鼻が高かった。


「ああ見えてね 実さん
昔は外国に住んでいたこともあるんだよ」


祖父を知っている人から聞く 祖父の過去
病気で祖母を早くに亡くしてからは 母を連れて
この島に戻ってきたけれど


母は島がイヤで早々に飛び出して行って
音信が途絶え・・・・・・
そして久し振りに戻ってきたときは


赤ちゃんだった私を連れて来たから
祖父はとても驚いた様子だったと・・・・・


そして幼い私を祖父に押し付けて
親不孝者で母親失格な母親を軽蔑した。
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