奥様のお仕事
「これから　マリンを家族に紹介するから」


とうとう始まる
最初から何か　緊張するお仕事だ。


「会長も社長も驚くでしょうね。
こんな美しい彼女を連れて行くなんて……」


佐伯さんの笑顔が　ミラーに映る。


「本当に　まさか専務さんに
こんな可愛い人がいたなんて私もビックリでしたわ」

美由紀さんが助手席から　私を振りかえって


「本当にお似合いです」と　言った。


「ふぅ・・・・・・・」
緊張感に大きなため息をついてしまった。


「家族にはマリンのことは一切話してないんだ。
きっと最初は大騒ぎすると思うよ」


「若のやることは　本当に
心臓に悪いですよ　会長ビックリしてお体に
さわらないといいですけどね」


「少しさわった方がいいよ……
まったく　元気も活力も私の数倍あるからね」


全く存在を知らない家族の前に
恋人で結婚すると　宣言するシナリオ

受け入れられるのか
私が家族なら絶対に　反対するし・・・・・・・
かえって　反対してもらった方が
この訳の分からない　仕事から　解放されるんだろうけど


解放されれば　働き口を失うし・・・・・・
とりあえずは　もうやるしかない………か………。
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