奥様のお仕事
大きな玄関のドアの前に 鍵を入れると
ドアは自動的に開いた。


「じゃ マリン 行くよ
この仕事の一番難しいとこだから頼むね
ここから先 私たちは恋人同士 いいね?」


「はい」
緊張感でめまいがした。
履きなれない高いヒールは安定感がなくて
余計めまいを助長させる。


その時 浩一郎が私の手を握った。

「え」


「マリンは私の妻になるからね」


そうだった。
ここから先は 私は浩一郎の恋人で 妻なんだ。


「上手くやってくれたら 時給もあげるよ」

ビジネス顔で微笑む。


「はい 頑張ります」


人を騙しちゃいけないと 祖父に言われていたけど
じいちゃん いいんだよね?
この人について行きなさいって 


じいちゃんが望んだことだもんね。
成るように成るんだよね・・・・・・・。


浩一郎の手は冷たかった。


「行くよ 自信を持って堂々としてなさい。
マリンは知的で美しいから・・・・・・・」



褒め言葉に頬が 火照った。


「手 あったかいね」


手汗もかいてる・・・・・恥ずかしくてまた熱くなった。


「可愛いよ マリン」

これって何?これもシナリオ?
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