奥様のお仕事

「お客様？」

間違いなく声が上ずっている。


私は慌てて立ち上がる。
厳しい表情をして近づいてきた母親と目が合った。


「かあさん　おはよう」

浩一郎がゆっくり立ち上がる。


「どなた？」


「俺の恋人の　黒木　マリン」


眉間に深い皺がよった。


こわっ・・・・・！！！


「はじめまして　黒木　マリンです。
よろしくお願いいたします」


深くお辞儀をした。


「浩一郎の母です」
もう　表情が　すごく険しい。



「あなたに　恋人って　初めて聞いたんだけど」


「そうだね　言わなかったし」


「言わなかったって　突然連れてきて
何を考えてるの？」


「いや　突然じゃないと　ダメでしょう？」


「ちゃんと段階を踏みなさいって言ってるのよ。
パパや　おじいさまやおばあさまだって
どれほど驚くか・・・・・・・」


「まぁね　だから今日紹介しに来た。
俺だって　いい年なんだからさ　彼女の一人くらい
普通いるでしょ？健全な男だからね」


「今まで何も言わないから驚いてるんでしょ？」


またエレベーターが開いて　次は三人がやってきた。