奥様のお仕事
「長谷家の長男だぞ。
磯貝議員の娘さんとはどうなってるんだ？
向こうからは　いい感じだと言われて
そろそろ考えなければと言っていたところだった」


「彼女とは　じいさんやとうさんの仕事上の付き合いもあるし
迷惑かけるのも何だから　丁寧に付き合ってはいたけど
全然そういう関係になるような相手じゃないよ」


「お嬢さんは　お前にその気があるなら
是非さきに進めて欲しいと　言ってるんだ」


「それはそっちの話で　俺にその気はまったくないよ」

ヒートアップしてくる話の内容に
いたたまれない気分になる。


「浩　勝手なことするなよ」

父親がやっと声を出した。

「勝手って　俺だって三十二だしね
いつまでも独身ってよくないだろ？」


「お前が恋人の存在を口にしなかったから
こっちはそのつもりでいたんだ」


「俺の人生だからね。
俺は愛した人と一緒にいたい。
結婚するから　よろしく」


「け・・・・結婚って！！！」

じいさんの顔が真っ赤になった。


「あなた　血圧上がるから」
白髪の上品そうな　おばあさんが　じいさんを落ち着ける。


はぁ・・・・・
これは大変なお仕事になりそう・・・・。
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