奥様のお仕事
祖父が空に昇って行った・・・・・・・。


しばらく出入り禁止になっていたアトリエの絵には
白い布がかかっていて
私は それをとって見る勇気がなかった。


これからどうしよう


島の人たちも 私の行く末を案じて
食事に誘ってくれたりしてくれるけど
いつまでもお世話になってはいられない。


とうとうこの島を出る時がやってきた。
だけどあまりに 突然すぎてどうしていいのかわからなかった。


青く輝く 祖父の愛する海の色は いつもと同じ


「じいちゃん・・・・・・」
涙が溢れては 途方に暮れる。


そんなある日のことだった。


アトリエに行くと 男の人が立っていた。


「どちらさまですか?」

恐る恐る声をかけると 
その人は 静かに振り返った。


素敵な人だと思った。


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