奥様のお仕事
「はじめまして 私 長谷 浩一郎 と言います。
おじいさんの 黒木 実氏のファンで 仕事仲間でもあります」


「じいちゃんの ファン?」


「このたびは 急なことで私も ショックです。
黒木氏には まだまだ 描いてもらいたい絵がたくさんありました」


祖父のところへ 来る人は初めてだった。
それもこんな 都会から来た紳士

「黒木氏の絵の仲介などさせていただいていました」


「そうですか」


「遺作の絵も 黒木氏から頼まれていますので
私の方でまかしていただいてよろしいですか?」


「私は じいちゃんの絵のことは
よくわからないので 信頼されている方ならば
宜しくお願いします」


長谷と言う人は 私をジッと見るから
ドキドキした。

男の人と話すなんて 私にはない経験だから
緊張で体が震えた。
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