海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~
最後の方は、涙で視界が歪み言葉が喉に詰まり声が震える。
そんな私の背中を、隣に座る夏生さんが優しく摩ってくれた。
「……そっか。よく頑張ったな」
「うん。海桜、凄く頑張ったんだと思う」
「違う……俺は、亜紀。お前が頑張ったって言ってるの」
「私?」
「そう……一度裏切った相手に会うのって、凄く勇気のいることだろう?なのに亜紀は、自分の弱さに負けずに会いに行った。それに……仕事でも周りに何言われても歯を食いしばって、頑張ったんだろう?」
どうして、それを知ってるの?
まるで私の事を見ていたかように――
「なんで、そう思うの?」
「いや……ここは、沢山の人が来るから。自然といろんな話が耳に入るだけだよ」
何故だか、少しバツが悪そうに頭を掻きながら口ごもる。
だけど彼の言葉の意味が少し分かった気がした。
きっと、職場の人達もココに来ることがあるのだろう。
女というものは、その場にいない誰かの噂話をするのが凄く好きだから。
その時、私の事も話のネタになっていたのかもしれない。