海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~
自分に冷静になるように言い聞かせながら、席に座りなおす。
そんな私には気付いてないようで、彼は冷蔵庫から銀色のトレイを出して
その中身をお皿に盛り付けていく。
無駄の無い洗練された動き。
ずっと見ていても飽きない。
「なに?そんなに見つめられると、作りづらいんだけど」
「ご、ごめん」
そりゃそうか。
いくら有名シェフでも、緊張とかするよね。
慌てて視線を手元に移し、赤くなった頬を隠すかのように俯いた。
「うそ、冗談だよ……ほんと、亜紀って可愛い」
「ッ?!……ば、バカ」
可愛いとか言うの、反則。