海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~

「さ、食べてみて」



布巾で手を拭きながら、私の目の前で腕組みをする夏生さん。



「……崩すの、勿体ないな」



スプーンを手に取ったものの、食べるのが勿体なくて

じっと見ていると



「料理は、五感で楽しむものだからね。でも、食べてもらわないと困る」



と催促された。

ん、まぁそうよね。

料理は食べてもらってなんぼだもの。



「うん……あ、写真撮っていい?」

「あぁ、いいけど……ほんと女子って好きだよね、そういうの」



だって、本当にもったいないんだもの。

こんなに綺麗な料理……初めて私のために作ってくれたデザート

形に残したいって思うの、変じゃないでしょ。

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