海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~

クスクス笑う彼を横目に、カバンからスマホを取り出す。

そして何枚か角度を変えて写真を撮ると、ようやくスプーンを手にして

パリパリ小気味いい音を立てながら

琥珀色の飴細工の籠を壊していく。

そして滑らかなティラミスを掬い頬張る。



「ん~~~~っ」



言葉にならない幸せ感。

自然と頬が緩んでいく。


泡雪のようにサッと解けていく、ティラミスは

ほろ苦さのなかに、ほんのり甘味があって私好み。

ふわっとオレンジ系のリキュールの香りが鼻を抜けて

爽やかな余韻を残していく。

しつこくなくて、何度でも食べたい。



「美味しい。口解けいいし、この香りは……グランマニエ?」

「分かった?ブランデーにしようかと思ったんだけど、今回はオレンジ系のリキュールを使ってみたんだ。どうかな?」


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