海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~

っ、ウソだろ……。


こんな光景を見たのは、学生時代以来だと思う。

暗がりの中、ゆらりと佇む男の奥には

床に倒れこんでいる、女の子の姿。


女の子は、気を失っているのか微動だにしない。

しかもその女の子は、間違いなく波瑠の想い人。

サンゴちゃんだった。


最悪じゃないか。

なんでこんなことになってんの?



「サンゴちゃん、大丈夫か?!」

「分からない。夏生、海桜ちゃんを頼む」



波瑠は、目の前に佇む男から視線を外さずに

俺にサンゴちゃんの傍に行くように言う。




< 11 / 124 >

この作品をシェア

pagetop