海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~
「亜紀?」
「どうして、ココにいるの?」
「探した。帰ろ」
「――鼻の下伸ばしてた癖に……知らない」
突っ伏していた顔を、ぷいっと反対側に向け
俺から見えないように隠す。
マズイな……本気で怒ってる。
でも、コレは亜紀のヤキモチだって分かっているから
少しニヤけてしまう。
「だから、誤解だって」
「誤解?何がどう誤解してるっていうのよ。じっと見つめちゃって……私の話なんか上の空だったくせに」
「どうかしたのかい?」
低く渋い声を響かせて少し離れていたマスターが近づく。
声を荒らげる亜紀を見て、何事かと気になったみたいだ。