海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~
「マスター聞いてよ。夏生ったら私というものがありながら、他の女に鼻の下伸ばしてたのよ」
「ナツ、お前――」
マスターが、呆れ顔で俺を見る。
こらこら、そんな憐れむような視線で見るなよ。
全部、亜紀の勘違いなんたから。
「違うから。マスターが思ってるような事は、断じてない」
「俺が思ってる事って?」
意地悪く、ニヤリと片方だけ口角を持ち上げて俺を見る。
「そうよ。どういう事か説明しなさいよ」
だ~か~ら~
全部亜紀の誤解なんだってば。
波瑠の結婚式に、思わずプレプロポーズをして――
翌月には亜紀と同棲を始めた。