海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~
「ナツ、夏生?ちょっと何、ニヤついてるのよ」
「や……べ、別に」
そう取り繕うも、怪しむ亜紀。
そっと俺の手元にあったパンフレットをみて一言「サイテー」と
ワントーン低い声で呟いた。
ヤバい……絶対、なにか勘違いしてる。
そう思って誤解を解こうと亜紀に話そうとするも
聞く耳を持ってくれず、今に至る……みたいな。
「……バカじゃないの」
冷たく言い放つ亜紀の声。
あはは……言おうとしたのに、聞こうとしなかったのは
亜紀じゃないか。
「はぁ~。夫婦喧嘩は犬も食わねぇ、ってこの事だな」
呆れたように溜息をついたマスターは、俺たちから離れていく。