海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~
そう叫ぶのが、精一杯だった。
何をどうすればいいのか、全く浮かばない。
そう、いわゆる頭が真っ白になったんだ。
「夏生っ、救急車を呼んでくれ!」
海桜ちゃんの傍にきた波瑠は、彼女を大切そうに抱きしめ
そう俺に叫んだ。
そうだ、救急車。救急車、だよな。
俺は、ハッとして上着の中から携帯を探る。
焦りの所為か、なかなかポケットから取り出せない。
やっとの思いで携帯を取り出し画面をみると
電波が一本しか立ってなかった。
くそっ、こんな時に――。
電波が安定する場所に移動しよと
携帯の画面を見ながら、店内を出ることにした。