海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~
救急車を見送った俺はCaféの中に入り、もう一度店内を見回した。
椅子やテーブル、観葉植物が床に無造作に倒れ
食器もいくつか割れ、床に散らばっている。
片付けるのに、時間がかかりそうだな。
というか、この男このまま放置しておくことも出来ないし
暴行容疑ってことで警察に連絡しとくか。
そうなればこの店は、当分の間開業することは出来ないな。
それにきちんと今回のことをオーナーにも話しておかなくちゃ。
横目で店長を見ると、唇の端を切ったのか血を拭いながら
ふてぶてしく、店の床に胡座をかいてタバコを吸い始めていた。
俺の憶測が正しければ、一夜の情事を楽しもうとしていた筈なのに
気が削がれたのか結城と呼ばれた女には、一言も言葉を掛けようとはしない。
本当、どうしようもない男だな。
同じ男として、情けなくなってくる。