海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~
ある日のbar calme
サンゴちゃんが病院に運ばれてから二日後――。
俺は自分の店の営業が終わり近くのbar calmeに寄った。
時計を見れば、零時近くになっている。
最近いろいろあって凄く疲れた。
こんな時は美味い酒を飲んで、心地よい酔い浸るに限る。
カラン、カラン、カラン――。
店に入ると、軽やかなベルが店内に鳴り響く。
それと同時に「いらっしゃい」というマスターの低音ボイスが聞こえた。
五席のカウンターには、すでに女性客がひとり座っていて
酔い潰れているのかカウンターに身を預けるようにして突っ伏していた。
カウンターの他にも二席のボックス席と、階段を上がったロフトにテーブル席が三席ある。
このBarは、オレンジ色のダウンライトと洗練された装飾品が
ちょっと大人な雰囲気を漂わせていて、ゆっくりと酒を楽しめる、俺のお気に入りの場所。