海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~
鬱陶しい……大人しく、立ち上がれよ……
と内心悪態をつつ、片眉を上げる程度にとどめる。
「これ以上、世話やかせんな。帰るぞ。」
「うるさいっ。放っておいてって言ってるでしょ」
呂律の回らない、舌足らずな喋り方で腕を振り回し
挙句の果てに、自分の目の前にあった水の入ったグラスを俺に向かって掛けた。
それは見事に俺の服にかかり、胸のあたりから冷たい水が滲みこんでくる。
もう我慢できない。
俺そこまで、温厚じゃないんだよ。
こんなことされてまで、黙っていられるわけないだろ。
大体なんだよ、親友であるサンゴちゃんは今入院してるんだぞ。
しかもその原因の一因は、お前だって分かってるんだろうが。
それをこんなところで、酒に溺れて――。