海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~
「あの――」
「ん?」
「相澤さん、これ持っていってくれませんか?」
病院に着いてから、どんどん歩く速度が遅くはなっていたけれど
とうとう病室の前に着た瞬間、結城の足は完全に止まってしまった。
「入らないの?」
「……怖い、です。だから――」
「あー、分かった。じゃ、ココで待ってる?」
俺がそう聞くと、彼女は小さく頷いた。
ま、分からなくもないか。
俺は深く追及することなく、彼女から紙バックを預かると
入院しているサンゴちゃんの病室のドアの前に立った。
ノックをしようとした瞬間、波瑠の喜ぶ声が聞えたかと思うと
それに続いて戸惑うサンゴちゃんの声。