海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~
病室を出た俺は、待合室に向かった。
しかし、待合室を見渡しても彼女の姿は何処にもいない。
おかしいな……
一人で帰ったのかな?
俺は、仕方なく病院を出てバイクを止めてある駐車場へ向かおうとした。
すると、病院のエントランスの柱の陰に長い髪が風に揺られ見える。
もしかして……結城?
俺はそっと彼女に近づく。
「……帰ったかと思った」
「いや、あの……お礼、言ってなかったし」
「そ。で、どうだった?」
「ん……ありがと。私、決めた。私も、海桜に胸張れるような恋する」
「あっそ」
恋に臆病になったり、もうしないとか言うのかと思ったら
サンゴちゃんに胸張れるような恋するって、どうなのかなぁ。
前向きって言えばそうなんだろうけど……
ま、いっか。俺には関係のない話だ。