海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~
「送ってく」
「いえ。私、バスで帰るので……」
「遠慮しなくてもいいよ。どうせ、このまま店に戻るし」
「尚更ダメです。あのお店、すごく人気で忙しいでしょ?私のことは気にせず行ってください」
柔らかな笑みを浮かべる、結城。
なんか、スッキリしたような顔をしてる。
この分だと大丈夫かな。
「そ。じゃ、気を付けてね」
「あの――」
「なに?」
「本当にありがとうございました。」
腰を90度まで深く折り曲げて頭を下げる。
暫くして、長い髪を耳に掛けながら顔をあげると
「また、お店に行ってもいいですか?」と様子を伺うように聞いてきた。