海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~
彼女から手渡された紙袋。
中を見ると、有名ブランドのシャツとズボン一式が入っていた。
気を遣わなくても良いのに、と思いつつも
弁償しなきゃとか、いろいろ悩んだんだろうな。
「遅くなってスミマセンでした。もう少し早く来たかったんですけど」
「気にしなくて良かったのに」
「いえ、そんな訳には……あの、じゃ。私はここで……」
スタッフの興味本位の視線を気にしたのか
ソワソワした態度で、早く店を立ち去ろうとする。
「え、食べていかないの?」
「はい。今日は、これを渡したかっただけなので」
「あのさ、ちょっと時間ない?」
自分でもビックリした。
なぜ、この時彼女を呼び止めたのか。
ただ勝手に口が動いて、気が付いたら彼女を呼び止めていた。