海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~
「え、と。あります、けど・・・」
「ちょっと、いいかな。彼女、奥の部屋に通してあげて。」
若いウェイトレスにそう告げると、呼び止めた理由を瞬時に考えた。
そして、ちょうど新作のパスタを考えていたし
その試作品の感想を、波瑠の代わりに聞こうと思いついた。
「おまたせ。」
「っ、は、はい。」
俺が、部屋に入ると
彼女はビクッと肩を揺らし緊張した面持ちで振り返る。
そんな彼女の仕草を見て
別に説教をするわけでもないのに、と
ちょっと可笑しくて、クスリと彼女に気付かれないように笑う。
そして店に出すのと同じように、お皿に綺麗に盛り付けたパスタを
彼女の前に置いた。