海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~
「これ、新作の試作品なんだ。ポルチーニ茸を使ったタリオリーニ、食べてみてくれる?」
「いいんですか?」
「うん。うちの店って、若い女性が多いんだよね。だから、率直な意見が知りたいわけ」
そう結城の前の席に座り
頬杖をつきながら、彼女の様子をみる。
最初、きょとんとした顔でパスタと俺の顔を交互に見ていた彼女。
だけど見る見るうちに、嬉しそうな顔に変わり
パスタに視線を落とし香りを嗅ぐように、深呼吸を1つした。
そして、パスタをフォークにクルクルと一口サイズに巻いて
口に運んでいく。
「っ、美味しい。これ、凄く美味しいです。」
「本当に、そう思う?」
「はい。ソースがポルチーニの旨味を吸って、凄く濃厚で美味しい。」
「良かった。まだ試作段階だから、もう少し改良を加えるつもりだけど。方向性は良いってことだね。」