海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~
「秋の試作品の、意見を聞かせて欲しいんだ」
「……試作、品……ハァー……」
まるで肩透かしをくらったように、一気に落胆し大きな溜息を吐く彼女。
そして額に掛かった前髪を掻き上げ俺を見据えた。
その姿に、さっきまでの警戒した様子はない。
警戒し、自分を抑える必要なないと判断したんだろう。
「仕事が終わってからだから、二十時を過ぎるわよ」
「来てくれるの?」
「そのかわり、美味しいもの食べさせてくれるんでしょ?」
よっしゃー!
波瑠の身代わり、ゲット!
大体、波瑠が来ればこんな面倒くさいことしなくて済んだんだ。
スタッフでもいいんだけど、内部にいる奴らは率直な意見を謙遜してか言わない。
だから俺に遠慮なく言ってくれる存在が、なにより有難い。