海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~
覚悟と失望
何度か相澤さんの料理を食べに行っているうちに
だんだん、彼の事が気になっていく自分に気が付いた。
柊司とあんな事になって、海桜を傷つけて
そんな私が、好きになっていい相手じゃないってわかってる。
それに最初の頃は、紛らわしい言い方で“好き”という言葉を使うし
本当に好意があるんじゃないかって相手に勘違いされそうな
話し方をするから、柊司と同じ部類の人なんじゃないかって思ってた。
だけど何度か会って話をして、それは違うんだと分かった。
相澤夏生――
この人は、本当に料理が好きなのだ。
自分の料理を食べて、喜んでくれる人たちの“笑顔”が見たい人なんだと。
料理に対する姿勢。
料理の話をしているときの、キラキラとした少年のような瞳。
睡眠時間を削り、新作のアイデアを練り上げ
二日後には、改善した作品を私の前に出してくる。
本当にストイックで、凄い人だ。