海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~
とまぁ、人の心配をしている場合じゃない。
なんとか希望の出版社に契約社員として試用期間も含めて
入ることが出来たものの、仕事は散々。
何もかも初めてづくしの私は、専門用語後が飛び交う社内で
右往左往しながらも、教育係りの先輩に懸命についていっていた。
お蔭で家に帰りつく頃には、お風呂に入ることも出来ずベッドに体を預け
すぐに寝入るくらい、体力的にも精神的にも疲れ果てている。
なのに聞いてしまった。
それはある日の夕方。
仕事がひと段落し、休憩がてらタバコを吸おうとCafeスペースに向かった時だった。
エレベータホールの奥にある場所で、窓に面したカウンターが三席と
背凭れのない三人掛けのソファが二脚置かれた、ちょっとした休憩スペース。
そこには自販機が二台と、コーヒーやお茶が自由に飲めるようにと
コップやポットなどが置かれている。