海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~
Caféスペースの手前に分煙された、喫煙ルーム。
十人も入ればいっぱいになるほど、小さな小部屋。
そこへ入ろうと、喫煙ルームのドアに手を掛けた時
Caféスペースから3人くらいの女性の話し声がして、思わず足を止めた。
声や話の内容から、同じ部署の先輩と私の教育係りである鈴木さんのようだ。
「どうなのよ、あの新人」
「全然、ダメ。頭の回転が悪すぎるのよ」
「え~、容姿だけは良いのにね」
「そのうち、編集長とかに媚を売るつもりなんじゃないの」
「てかさぁ。なんで経験ない奴が入ってこれたの?」
「まさか、既にヤってんじゃないの?」
「やだ~。そんな訳ないでしょぉ~」
キャハハと甲高い声で笑い合う。
どうやら彼女たちからは私の姿は見えていないようで、好き勝手言い放題。
誰が誰とヤってるって?ふざけんじゃないわよ。
そんなに軽い女じゃないっつーの。
影でグチグチ言わず、直接私に言えばいいのに――。