海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~
だけど彼女に何があったのかは、分からないけれど
つい最近、彼女は海に飛び込んで記憶を失ってしまった。
それに端を発し、波瑠は彼女のことを今まで以上に気に掛けているようだ。
まぁ、好きな相手が記憶喪失だとか気にならないわけがないよな。
俺も出来るだけ協力して、Caféに足を運ぶようにはしているけれど
それも波瑠と一緒にいることが条件だし。
俺一人で行こうものなら、波瑠が嫉妬全開で睨んでくる始末。
仕事じゃ采配がうまい奴なのに
恋愛となると、からきしダメなんだから。
可愛くも手のかかる、嫉妬深き旧友だよ、全く。
「ふぅ……夜風が気持ちいいな」
ふいに波瑠が背を伸ばすように両腕を伸ばしてそう言った。
確かに、お酒が入って火照った肌には心地いい風だ。
だけどお前が考えてることは、全然別の事だろ?
顔がニヤけてるんだよ。
分かりやすいヤツ。