海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~
彼女は今月から新しい仕事に就いている。
それは亜紀にとって、大学時代から希望していた職種だと言っていた。
自分の好きな仕事は大変なことも多々あるけれど
楽しくて時間を忘れてしまう。
俺も、この仕事をし始めた時はそうだった。
だから集中して、仕事を頑張りたいのかもしれない。
だったら俺が出来ることは、彼女を応援すること。
そしていつか亜紀が店に来た時、飛び切り美味い料理を提供することだ。
そう気持ちを切り替えて、新メニューへの取り組みを再開したある日
波瑠から、夜中に電話が掛かってきた。
「なに?」
「そんなに警戒した声出すなよ。お前に頼みたいことがあるんだ。今すぐ俺のマンションに来てくれ。」
「は?今何時だと思ってるわけ?」
「いいから、来いって。」
「ちょっと、待……てって最後まで聞けよ。」