海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~
意味わかるかな?
新メニューの試作品なんて、誰でも食べさせるわけにはいかない。
スタッフにだって、ある程度完成品に近づけてから口にしてもらう。
だって未完成品だから。
それを食べられるのは、本当に僅かな限られた人だけ。
俺が“特別”だと決めた人だけだ。
「夏生さんの新メニューを私が?」
「うん。ダメかな?」
「それって、どういう……」
「こういう事」
言うが早いか、俺は彼女の唇に自分のそれを重ねた。
唇を通して、俺の思いが届けばいいのに。
「んっ。夏……待って。ちゃんと、聞かせて?」
俺の胸を押しやり、キスを拒む亜紀。