(仮)じれったい小指
入学式
澄みきった青空。
桜の花びらが舞う春…
今日は翠ヶ丘高校の入学式。
式典も無事に終わった新入生達は各クラスに分かれて教室に入る。
ホワイトボードには生徒の名前が書いてあって指定された机の席に向かって座った。
(やっとこの高校に来れた…)
今だに担任の先生も来ない。
まだホームルームも始まりそうに無くて周りを見渡して見たけど。
顔見知りの顔は誰も居ない。
ホッ!と安心して椅子に座ろうと腰を下ろしてた、その時に後ろの席の誰かが制服の裾を引っ張って声を掛けて来た。
「ねぇ?あなた、どこから?」
「えっ?」
顔見知りが居ない筈なのに誰?と振り返ろうとした矢先に阻止され同じクラスの女子生徒らしき人にアッと言う間に取り囲まれた。
「初めて見る顔だわ。」
「どこの中学から来たの?」
「これから何処に住むの?」
「何故この高校を受験したの?」
面接さながらの質問攻めに遇う。
新参者が珍しいのか女子生徒らが質問だけじゃ無くて親切に色んな事を教えてくれる。私の周りには女子生徒らで騒がしかった。
「私が先に声を掛けたのよ。
新入りの癖に挨拶無し?」
突然その喧騒を静めるような声が聞こえて咄嗟に振り向いた。