Love Butterfly
俺らがチームを作って、最初は俺と崇大と、あと純粋にバイクが好きなヤツ三人と、五人だけやった。ただバイクで走って、時々飯食うて、そりゃ、他のチームの奴らとかちあって、ケンカになったこともあったけど、俺らはただ、バイクに乗りたかっただけやった。
でも、いつの間にか、新しいヤツらが入ってくると、バイクに乗る、ゆうより、タムロして、夜な夜な遊び通して、酒とかタバコとかやって、中にはアブナイ薬やってるヤツも出てきて、俺らのチームは、ただの、不良の集まりになってしまった。
だから、そろそろ、チームも解散しようかって、いう話も出とったけど、でも、俺らはどうしても、それはできなかった。
チームの中には、ほんまにあそこにしか居場所がないヤツもおって、もしあのチームがなくなってしまったら、そいつらがどうなんのか、俺も、崇大も心配で、現に、京子みたいな、ええとこのお嬢さんが、あんなに無理にタバコ吸うて、仲間に入れて欲しいみたいなこと言って、こんな俺らでも、ちょっとはそいつらの役に立ててるんかって思うと、どうしても、やめられずにいた。
「陽子のこと、好きなんやろ?」
「刺さへんか?」って、崇大はちょっと笑って、頷いた。
「陽子も、お前のこと、好きや」
「そやろなあ」
「……崇大やったら、陽子のこと、任せられるけど、ヤクザは別や」
俺は、笑ってそう言ったけど、崇大は、真面目な顔になって、短くなったタバコを、灰皿に押し付けた。
「お前、京子のこと、幸せにする自信あるか?」
俺にはその質問の意味がまったくわからんかった。俺は、たぶん、京子のことが好きで、ほんまに京子も俺のこと好きなんやったら、俺は、京子を絶対に幸せにする自信があった。守ってやる自信があった。
「俺には、陽子を幸せにする自信はない」
意外やった。意外な崇大の言葉に、俺はつい、カッときてしまった。
「そんなヤツに、陽子はやらん!」
「陽子はモノちゃうぞ!」
崇大は、そう怒鳴って、俺の襟を掴んだ。
「ヤクザに逃げるようなヤツは、友達でもなんでもない!」
俺らは、気ついたら殴り合いのケンカになってて、俺も崇大も、お互い、本気で殴り合いしてたら、襖が開いて、陽子が泣きながら立ってた。
「たかにいがヤクザになっても、私はたかにいのこと好きや!」
中三やのに、まだガキのくせに、陽子は、大人の女の顔で、そう言うて、俺の眼の前で、崇大に抱きついた。崇大は鼻血が出てて、俺も口から血が出てて、陽子は俺にティッシュを投げただけのくせに、崇大の鼻血は優しく拭きよる。
「勝手にせえ」
でも、いつの間にか、新しいヤツらが入ってくると、バイクに乗る、ゆうより、タムロして、夜な夜な遊び通して、酒とかタバコとかやって、中にはアブナイ薬やってるヤツも出てきて、俺らのチームは、ただの、不良の集まりになってしまった。
だから、そろそろ、チームも解散しようかって、いう話も出とったけど、でも、俺らはどうしても、それはできなかった。
チームの中には、ほんまにあそこにしか居場所がないヤツもおって、もしあのチームがなくなってしまったら、そいつらがどうなんのか、俺も、崇大も心配で、現に、京子みたいな、ええとこのお嬢さんが、あんなに無理にタバコ吸うて、仲間に入れて欲しいみたいなこと言って、こんな俺らでも、ちょっとはそいつらの役に立ててるんかって思うと、どうしても、やめられずにいた。
「陽子のこと、好きなんやろ?」
「刺さへんか?」って、崇大はちょっと笑って、頷いた。
「陽子も、お前のこと、好きや」
「そやろなあ」
「……崇大やったら、陽子のこと、任せられるけど、ヤクザは別や」
俺は、笑ってそう言ったけど、崇大は、真面目な顔になって、短くなったタバコを、灰皿に押し付けた。
「お前、京子のこと、幸せにする自信あるか?」
俺にはその質問の意味がまったくわからんかった。俺は、たぶん、京子のことが好きで、ほんまに京子も俺のこと好きなんやったら、俺は、京子を絶対に幸せにする自信があった。守ってやる自信があった。
「俺には、陽子を幸せにする自信はない」
意外やった。意外な崇大の言葉に、俺はつい、カッときてしまった。
「そんなヤツに、陽子はやらん!」
「陽子はモノちゃうぞ!」
崇大は、そう怒鳴って、俺の襟を掴んだ。
「ヤクザに逃げるようなヤツは、友達でもなんでもない!」
俺らは、気ついたら殴り合いのケンカになってて、俺も崇大も、お互い、本気で殴り合いしてたら、襖が開いて、陽子が泣きながら立ってた。
「たかにいがヤクザになっても、私はたかにいのこと好きや!」
中三やのに、まだガキのくせに、陽子は、大人の女の顔で、そう言うて、俺の眼の前で、崇大に抱きついた。崇大は鼻血が出てて、俺も口から血が出てて、陽子は俺にティッシュを投げただけのくせに、崇大の鼻血は優しく拭きよる。
「勝手にせえ」