Love Butterfly
春が来て、陽子は中学を卒業して、崇大はチームを抜けて、俺は高三になって、そろそろ、本気で進路を考えなあかんくなった。京子とは、あれから、何回かキスはしたけど、それ以上のことはなくて、相変わらず、京子は万引きグループとツルんでいた。崇大がおらんようになって、チームの中はますます荒れ始めて、俺はもう、やっぱりこのチームは解散したほうがいいって、思うようになって、ついに、解散することを決めた。
夏休み前に、解散式をすることにして、俺らは最後に、みんなで走って終わろうってことになって、崇大とか、引退したヤツらとか、他のチームの仲良いヤツとかも来てくれて、結構な人数で、俺らは大阪の夜の街を朝まで走り続けた。でも、事前に情報が漏れ取ったんか、機動隊にはられてて、俺らは一気に補導されて、せっかくのラストランは、台無しになってしまった。
俺らにとったら、こんな補導なんか、しょっちゅうで、警察に連れて行かれても、あちこちでポリとケンカが始まって、もう収集つかへんくらいになって、俺と崇大はおかしくてゲラゲラ笑ってたけど、京子だけは、俯いて、青い顔しとった。
考えてみたら、万引きしただけで、あんなに泣くような京子が、警察に捕まったなんか、ショックに違いない。俺は、「馴染み」の少年課の刑事に、あの子はたまたま一緒におっただけで、メンバーやないって、訴えた。京子には、大丈夫やで、って言うたけど、黙ったままで、ずっと三角座りで、ガタガタ震えてた。
事情聴取の番が京子にまわってきて、部屋に入ってしばらくして、高そうなスーツのおっさんと、ええとこの奥さんみたいなおばはんが、血相変えて、受付で何か言いだした。誰かが、あのおっさん、どっかで見たことあるって言いだして、政治家やとか、社長やとか、勝手なこと言うてたけど、それは、京子の親で、部屋から俯いたままの京子が出てきて、その後に、そのおっさんとおばはんが、慌てて追いかけて行った。
そう言われてみたら、俺もどっかで見たことあって、受付のポリに、あのおっさん、誰? って聞いたら、弁護士さんや、って言うた。
そうや。弁護士や。櫻井とかいう、有名な弁護士で、テレビとかで偉そうに喋ってるおっさんや。そうか、京子はやっぱり、ええとこの子や。あんなでかい家に住んで、親父は弁護士で、なんや、お嬢様やんけ。俺なんかが守らんでも、もう、守られてる。正直、俺は、その時に、京子への想いが、冷めてしまった。
夏休み前に、解散式をすることにして、俺らは最後に、みんなで走って終わろうってことになって、崇大とか、引退したヤツらとか、他のチームの仲良いヤツとかも来てくれて、結構な人数で、俺らは大阪の夜の街を朝まで走り続けた。でも、事前に情報が漏れ取ったんか、機動隊にはられてて、俺らは一気に補導されて、せっかくのラストランは、台無しになってしまった。
俺らにとったら、こんな補導なんか、しょっちゅうで、警察に連れて行かれても、あちこちでポリとケンカが始まって、もう収集つかへんくらいになって、俺と崇大はおかしくてゲラゲラ笑ってたけど、京子だけは、俯いて、青い顔しとった。
考えてみたら、万引きしただけで、あんなに泣くような京子が、警察に捕まったなんか、ショックに違いない。俺は、「馴染み」の少年課の刑事に、あの子はたまたま一緒におっただけで、メンバーやないって、訴えた。京子には、大丈夫やで、って言うたけど、黙ったままで、ずっと三角座りで、ガタガタ震えてた。
事情聴取の番が京子にまわってきて、部屋に入ってしばらくして、高そうなスーツのおっさんと、ええとこの奥さんみたいなおばはんが、血相変えて、受付で何か言いだした。誰かが、あのおっさん、どっかで見たことあるって言いだして、政治家やとか、社長やとか、勝手なこと言うてたけど、それは、京子の親で、部屋から俯いたままの京子が出てきて、その後に、そのおっさんとおばはんが、慌てて追いかけて行った。
そう言われてみたら、俺もどっかで見たことあって、受付のポリに、あのおっさん、誰? って聞いたら、弁護士さんや、って言うた。
そうや。弁護士や。櫻井とかいう、有名な弁護士で、テレビとかで偉そうに喋ってるおっさんや。そうか、京子はやっぱり、ええとこの子や。あんなでかい家に住んで、親父は弁護士で、なんや、お嬢様やんけ。俺なんかが守らんでも、もう、守られてる。正直、俺は、その時に、京子への想いが、冷めてしまった。