Love Butterfly
(2)
俺は、生まれた時にもう、施設に入っていた。どうやら、俺の親は、犯罪者か何からしくて、俺は獄中で生まれたらしい。もちろん、親の名前も、顔も、知らない。生まれた瞬間から、俺は一人ぼっちだった。何度か養子の話があったけど、犯罪者の子供なんて、引き取り手があるわけがない。その噂は、施設にも広まってて、俺はなんとなく、誰からも避けられてて、俺も誰もを避けて、中三の時に、窃盗で、逮捕された。それまで何度か補導歴があったから、ついに少年院送致になって、半年間、そこで過ごして、そのまま、施設には戻らなかった。
少年院で知り合った奴らは、どいつも同じような感じで、家にも、どこにも戻れないような、俺みたいな奴は、誰のものかもわからないような、きったないアパートに集まって、そこで、俺たちは、ただ、生きていた。少年院から仕事は用意してもらったけど、中途半端な俺は、何をやっても続かずにいて、そのうち、バイトもしなくなって、ヤクザの使いっ走りみたいなことをやって、小遣い稼ぎをしていた。
そんな生活に、俺は嫌気がさしていた。でも、どうしたらいいか、わからなくて、もういっそ、組入りでもして、ヤクザになろうかとも思っていた。そして、十七になるちょっと前に、「花倉」の先生に出会った。
親父狩りにあっていた先生を、俺はなんとなく助けてやって、まあ、ケンカだけは自信があったから、別になんでもなかったけど、先生は、俺を、店に連れて帰って、お礼だと言って、海鮮丼を食わせてくれた。その時に食った海鮮丼は、最高に美味くて、そして何より、それを作る先生の包丁に、俺は惚れた。
少年院で知り合った奴らは、どいつも同じような感じで、家にも、どこにも戻れないような、俺みたいな奴は、誰のものかもわからないような、きったないアパートに集まって、そこで、俺たちは、ただ、生きていた。少年院から仕事は用意してもらったけど、中途半端な俺は、何をやっても続かずにいて、そのうち、バイトもしなくなって、ヤクザの使いっ走りみたいなことをやって、小遣い稼ぎをしていた。
そんな生活に、俺は嫌気がさしていた。でも、どうしたらいいか、わからなくて、もういっそ、組入りでもして、ヤクザになろうかとも思っていた。そして、十七になるちょっと前に、「花倉」の先生に出会った。
親父狩りにあっていた先生を、俺はなんとなく助けてやって、まあ、ケンカだけは自信があったから、別になんでもなかったけど、先生は、俺を、店に連れて帰って、お礼だと言って、海鮮丼を食わせてくれた。その時に食った海鮮丼は、最高に美味くて、そして何より、それを作る先生の包丁に、俺は惚れた。