こころの温度差
 
いきなり、
西の方で稲妻が走った。

急いで、アパートへ駆け出す。

不思議なことに
あれほど痛かった足の指が、
気にならなかった。

程なく大きな音がすると、
雨粒が
ポトリと左の頬に落ちた。

慌てながら、
巾着からカギを取り出しす。

急いで部屋にあがると、
散らかっていた洋服を
全てクローゼットに押し込んだ。

それから急いで鏡の前に立つ。


(泣いたカラスが、もう笑った。)

今の、
焦っているのに、
なんだか嬉しそうな自分をみて
そう思った。

雨音が大きく激しくなっていく。

なんだか
段々、不安になって来た。
< 108 / 204 >

この作品をシェア

pagetop